For No One

パリ、東京、ニューヨークでの思い出話や日々思うことをつらつらと書いていきます。

セシルと野菜と大人と子供

クラスの人気者になった私は、セシルという親友ができて、
お互いの家を行き来するようになった。
 
クラスに必ず一人は居る、面倒見のいい子。
ブロンドで目が青くて、かわいくて大好きだった。
 
その子の家に泊まりに行くと、食事は親と別々だった。
 
子供たちは早い時間にキッチンのテーブルで食事を済ませ、
大人たちはもっと遅い時間に、ゆっくりとワインを飲みながら食事を楽しむ。
 
フランスでは、多分それが一般的だと思う。
悪いこととは思わない。
騒ぐ子供に翻弄されながらせわしなく食事をするよりも、ずっといい。
 
が、問題なのは子供の食事の内容だ。
ゆで卵一個と、マッシュポテト。
それにフランスパンが一切れ。
 
自宅では大体和食で、品数も多かった私は、それを母親に伝えたらえらく驚いていた。
 
セシルがうちに遊びに来たときに、母が彼女に
「セシルが知ってる野菜を教えて?」と行ったら、
彼女は「お米」と真っ先に答えたという。
 
あとは?と聞くと、ちょっと考えてから
「ポテト」と言ったそうだ。
 
それ以外は、知らなかったらしい。
 
うちで出す食事は、彼女も喜んで食べていた。
 
美食家のイメージがあるフランスだけど、
日常、特に子供は粗食でした。少なくとも当時は。
日本人の子供は、小さいときから色んなものを食べられて幸せだと思う。
 
 
 
そして、「子供」と「大人」の線引きがしっかりしている。
大人が会話を楽しんでいるときに、子供が邪魔すると徹底的に怒られる。
大人が子供を尊重するように、子供も大人を尊重するよう教育される。
 
子供がレストランや電車の中など、公共の場で奇声を発して暴れまわるシーンは、フランスではまず見ない。
子供には、とっても愛情を注ぐけど、その分厳しい。
「子供は禁止だけど犬はOK」なんてレストランも、当時は結構あった。
そもそも、レストランへ行くとき、大人は子供をベビーシッターに預けるのが一般的だ。
 
日本は、「子供天国」だと、つくづく思う。
なぜそんなに子供に好き勝手をさせるのか、理解に苦しむ。
 
一緒に遊んで甘やかすときは思いっきりやって、
我慢したり、おとなしくするべきときはきちんと理解してもらったうえで、徹底する。
フランス人の親は、そんなイメージだ。
 
だから最近の日本の大人は子供っぽくて、フランスの大人はきちんとした大人になれているんじゃないかな~
と、漠然と思います。